議事録は「録音→文字起こし→AIで要約」に分けると一気に楽になる
会議が終わったあと、録音やメモを見返しながら議事録を書き直す——この作業に毎回そこそこの時間を取られている人は多いと思います。私もそうでした。
そこでたどり着いたのが、議事録づくりを4つの工程に分けて、途中をAIに任せるやり方です。手順にすると、こうなります。
- 会議を録音する
- 音声を文字起こしする(会議ツールの自動文字起こしや文字起こしアプリ)
- 文字起こしをAIに要約・整形させる(ChatGPT などの生成AI)
- 人の目で仕上げる
ポイントは、AIに「ゼロから書かせる」のではなく「散らかった素材を整えさせる」こと。丸投げすると精度が不安ですが、素材(=文字起こし)を渡して形を指定すれば、下書きとしてかなり使えるものが返ってきます。以下、それぞれの工程とコツ、そして正直なつまずきを整理します。
なぜ工程を分けると楽なのか
議事録が面倒なのは、「聞く・思い出す・要点を選ぶ・整った文にする」を一度にやろうとするからです。この負荷を分解して、機械が得意なところ(文字起こし・要約の下書き)を渡してしまう。すると人の仕事は、最後の「事実確認と判断」だけに絞れます。
裏を返すと、AIが苦手なのはこの「判断」の部分です。誰が何を決めたのか、社内でしか通じない言い回しの意味は何か——そこは人が押さえる前提で組むと、うまくかみ合います。
用意するもの
会議の形式で使う道具は変わりますが、たいていは手元にあるもので始められます。
- 録音と文字起こし:オンライン会議なら Zoom / Google Meet / Microsoft Teams の録音・自動文字起こし機能。対面なら、スマホのボイスメモや音声入力、パソコンのOS標準の音声入力でも録れます。
- 要約・整形:ChatGPT などの生成AI(AIチャット)を1つ。
- 迷ったら:オンライン会議なら「会議ツールの自動文字起こし + ChatGPTで要約」の組み合わせが、追加の準備がいらず始めやすいです。
多くのサービスは無料で使える範囲があるので、お金をかけずに一度試せます。ただし料金や機能・上限はサービスごとに違い、更新もされるので、詳しくは各公式で確認してください。
先に:プライバシーと社内ルールの確認
手順の前に、大事な注意を1つ。会議の機密情報や個人情報を、安易に外部のAIサービスへ入れないでください。録音や文字起こしを外部に送ると、その内容が保存・利用されることがあります。
とはいえ、身構えすぎる必要はありません。次の点を押さえれば、多くの場合は避けられます。
- 社内で許可されたツールを使う:まず勤務先の情報取り扱いルールを確認し、その範囲内のサービスを選ぶ。会社契約のプランは、入力内容を外部の学習に使わない設定になっていることもあります。
- 機密は入れない・伏せる:顧客名・個人名・具体的な数値など、外に出したくない情報は、AIに渡す前に伏せ字(〇〇社、Aさん)に置き換える。
- 要約対象を絞る:議事録に必要な部分だけをAIに渡し、雑談や関係のない発言は含めない。
- 録音を事前に伝える:会議の参加者に、録音する旨を先に共有しておく。
「使うツールを選ぶ」と「入れる情報を絞る」の2点を意識するだけで、安心して使える範囲はぐっと広がります。
手順:録音から仕上げまで
1. 録音する
雑音が少ないほど、あとの文字起こしの精度が上がります。マイクを話し手の近くに置く、エアコンやプロジェクターの音から離す、といった小さな工夫で結果が変わります。オンライン会議なら、各ツールの録音機能を使うと音がクリアに残りやすいです(機能の有無や録音時の通知ルールはツールごとに違うので、公式情報と社内ルールを確認してください)。
2. 文字起こしする
音声をテキストに変換します。オンライン会議なら、Zoom / Google Meet / Teams などで録音と自動文字起こしをオンにしておけば、会議後にテキストが手に入ります。対面の会議なら、スマホなどで録音した音声ファイルを、文字起こしに対応したアプリやサービスにアップロードして変換します。
この段階では誤変換や句読点の乱れは気にしないでOK。整えるのは次の工程でAIに任せます。ここで完璧を目指すと、かえって時間を取られます。
3. AIで要約・整形する
文字起こしのテキストをAIに貼り、形を指定して整えてもらいます。ここが肝です。ただ「要約して」と頼むと、ぼんやりした結果になりがち。私は次のように、役割・形・項目を指定して頼んでいます。
あなたは会議の議事録担当です。以下は会議の文字起こしです。これをもとに議事録を作成してください。
・構成は「①決定事項 ②ToDo(担当と期限つき) ③保留・持ち越し ④主な議論」の順
・各項目は箇条書きで簡潔に
・文字起こしに書かれていないことは補わない。不明な点は「(要確認)」と明記する
・(ここに文字起こしテキストを貼る)
「書かれていないことは補わない」の一文は入れておくことをおすすめします。AIは文脈を埋めようとして、言っていないことをそれらしく足すことがあるためです。
4. 人の目で仕上げる
返ってきた下書きを、録音や自分のメモと照らして確認します。特に決定事項・担当・期限・数値・固有名詞は必ず目視でチェック。ここだけは人がやる、と決めておくと安心です。「(要確認)」と付いた箇所を埋めれば、議事録として配れる形になります。
うまくいかせるコツ
- 話者を分けたいときは、その旨を指示する。 文字起こしに「Aさん:」「Bさん:」のように話者ラベルが付いているなら、「発言者ごとに整理して」と頼めます。ラベルがない場合、AIが正確に話者を当てるのは苦手なので、無理に分けさせないほうが確実です。
- 出力フォーマットを毎回そろえる。 「決定事項/ToDo/保留/議論」の型を固定しておくと、会議ごとに議事録の見た目がぶれません。前回の議事録を1つ見本として貼るのも効きます。
- 長い会議は分割して渡す。 1時間を超えるような会議は、一度に全文を入れると後半が雑に扱われがちです。議題ごとに区切って要約し、最後に統合すると精度が保てます。
- 専門用語は先に渡す。 社内の略語や商品名は、「この会議での用語:〇〇=△△」と最初にリスト化して渡すと、誤変換のまま要約されるのを防げます。
つまずきポイント(正直なところ)
いいことばかりではないので、実際に引っかかる点も書いておきます。
- 誤変換は普通に起きる。 特に人名・社名・専門用語は間違いやすい。文字起こしの精度は音質と話し方に大きく左右されます。大事な固有名詞ほど、最後に人が確認する前提で。
- 「それらしい嘘」が混ざることがある。 決まっていないことを「決定」として書いてしまうなど。だからこそ手順4の照合を省けません。
- 要約は思い切って削るので、ニュアンスが落ちる。 「なぜその結論になったか」の温度感は消えがち。議論の背景を残したいときは、④の議論欄を厚めに指定します。
- 完全自動にはならない。 楽になるのは事実ですが、最後の判断は人の仕事として残ります。そこを織り込んでおくと、期待とのズレがありません。
AIには「整えさせる」、判断は人がやる
議事録づくりは、工程を分けてAIに下ごしらえを任せると、負担がずいぶん軽くなります。
- 録音→文字起こし→AIで要約・整形→人が仕上げ、の4工程に分ける
- AIには役割とフォーマットを指定し、「書かれていないことは補わない」と添える
- 決定事項・担当・期限・固有名詞は、必ず人の目で確認する
まずは次の会議の録音を1つ、文字起こしして、上のプロンプトで整えてみてください。ゼロから書くのと比べて、どこまで下書きが進むか——その手応えで、自分の会議に合う型が見えてくるはずです。
