「どれを使えばいい?」に先に答えると
会議や取材のあと、録音を聞き返しながら文字に起こして、要点をまとめ直す——この作業に毎回そこそこの時間を取られている人は多いと思います。いまはこの一連の流れをAIにかなり任せられるようになりました。ただ、文字起こし・議事録のツールは似ているようで、個人向き・法人向き・日本語の得意さがはっきり分かれます。
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先に方向性だけ言ってしまうと、こうなります。
- まず無料で試すなら → toruno(累計3時間ぶん無料で、会議1〜2回を試せる)
- 個人で会議の議事録を作るなら → toruno/Notta
- 日本語の精度重視、取材やライター向き → Rimo Voice
- 企業で本格導入するなら → Otolio(旧スマート書記)/YOMEL
大事な前提をひとつ。文字起こしの精度は、録音環境や話し方によって同じツールでもかなり変わります。だから説明を読むより、気になったものを無料枠で一度使ってみるのが失敗しにくい。この記事は、その判断材料として、各社の公式情報をもとに5つを中立に整理したものです。
なお、文字起こししたあとの要約や整形を担っているのは 生成AI です。ツールを使わず自分で手順を組みたい人は、会議の議事録をAIで作る方法 もあわせて読むと、どこまでを専用ツールに任せるかの判断がしやすくなります。
選ぶときに見る4つの軸
ツールを比べる前に、自分がどこを重視するかを決めておくと迷いません。見るポイントは大きく4つです。
- 個人向けか法人向けか — ここが最初の分かれ道です。個人で契約できるものと、法人契約が前提で個人では使えないものがあります。
- 無料でどこまで試せるか — 「月◯分まで」なのか「累計◯時間まで」なのか、期間限定のトライアルなのかで、実際に議事録を試せる量が大きく変わります。
- 日本語の精度と話者分離 — 誰が話したかを分けてくれる話者分離(話者識別)があると、議事録の整理がぐっと楽になります。専門用語や社内用語の登録に対応しているかも効いてきます。
- 料金体系 — 月額で使い放題に近いタイプと、利用時間やAIクレジットを消費するタイプがあります。たくさん使うなら固定制のほうが費用を読みやすくなりがちです。
5つを一覧で比べる
主要な5つを、得意分野・無料プラン・料金の目安で並べます。料金はすべて2026年7月時点のもので、プランは変わることがあるため、契約前に必ず各公式サイトで最新を確認してください。
| ツール | 得意なこと | 無料プラン(目安) | 有料の目安(月額) | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|---|
| Notta | 多機能・多言語・要約 | 月120分(1回3分まで)+3日間トライアル | ¥1,980〜 | 万能型でまず候補に挙がる |
| toruno | 音声+テキスト+画面を同時記録 | 累計3時間まで無料 | ¥1,650(月10時間) | 個人でも安く記録を残せる |
| Rimo Voice | 日本語特化・取材向き | 1週間トライアル(約60分) | ¥1,650〜 | 国産で日本語精度に定評 |
| Otolio(旧スマート書記) | 法人の会議議事録 | 14日間トライアル | 要問い合わせ | 企業導入の定番・法人特化 |
| YOMEL | 法人の自動議事録 | トライアルあり | 要問い合わせ | ID無制限で全社利用向き |
※無料枠は「月◯分」「累計◯時間」など数え方が違うので、そのまま横並びで比べず、自分の使い方に当てはめて見てください。以下、それぞれの中身を見ていきます。
Notta:多機能で、まず候補に挙がる万能型
Notta は、リアルタイムの文字起こしから録音データの書き起こし、AI要約、翻訳まで一通りそろった多機能ツールです。Web・スマホアプリ・ブラウザ拡張と使える場所が広く、多言語対応や話者識別も備えているので、「とりあえず一つ選ぶなら」で候補に挙がりやすいのが強みです。
料金は2026年7月時点で、無料プランのほか、プレミアムが月1,980円(年払いなら月換算でおよそ1,185円)、ビジネスが年払いで1アカウントあたり月およそ2,508円です。
- こんな人向け:文字起こしから要約・翻訳まで一つでまかないたい人。英語など多言語の会議もある人。
- 弱点:無料プランは月120分あるものの1回3分までという制限があり、まるごと1回の会議を試すのは難しく、実質は短いメモやお試し向けです。文字起こしの精度も録音環境しだいで上下します。
toruno:音声・テキスト・画面をまとめて記録できる
toruno(リコー)は、録音と文字起こしに加えて、会議中の画面を同時にキャプチャして残せるのが独自の持ち味です。音声・テキスト・画面の3点セットで記録が残るので、「あの資料のどのページで何を言っていたか」まで後から追いやすい。音声認識にはAmiVoiceを採用し、AI要約もあります。
料金は2026年7月時点で、パーソナルが累計3時間まで無料、有料のパーソナルが月1,650円(税込・月10時間)です。累計3時間の無料枠は、1回1時間の会議なら2〜3回ぶん試せるので、この記事で挙げた中では「まず試す」に一番向いています。
- こんな人向け:個人で安く始めたい人。画面共有つきのオンライン会議を、資料ごと記録に残したい人。
- 弱点:記録が多機能なぶん、文字起こしの処理に時間がかかる場合があります。月10時間を超えて使う人には、時間の上限が気になるかもしれません。
Rimo Voice:日本語に強く、取材・ライター向き
Rimo Voice は、Rimo合同会社が手がける国産ツールで、日本語に特化した文字起こしとAI議事録・要約が持ち味です。話者分離やタイムスタンプにも対応し、日本語の精度に定評があるため、取材の書き起こしやライティングの下ごしらえに向いています。
料金は2026年7月時点で、1週間の無料トライアル(約60分)のほか、文字起こしプランが月1,650円(年契約なら月換算1,100円)、プロが月4,950円です。AIによる要約などはクレジット制で消費します。
- こんな人向け:日本語の精度を重視する人。インタビューや取材の書き起こしをよくする人。
- 弱点:AIクレジットを消費する仕組みのため、使う量によってコストが読みにくいことがあります。支払いがクレジットカードのみという点も、事前に確認しておきたいところです。
Otolio(旧スマート書記):企業の会議議事録に特化した定番
Otolio は、エピックベースが提供する法人向けの議事録ツールです(2025年12月にスマート書記から改名しました)。用語登録・フィラー(「えー」「あのー」などの言い淀み)の除去・話者分離・自動要約と、日本の会議で議事録を作ることに最適化されていて、導入実績が豊富なのが強みです。
料金は2026年7月時点で、14日間の無料トライアルがあります。有料はライセンスが月10,000円ほどからとされますが、これにAIパックが加わり、実際の費用は利用規模しだいの見積りになるため、料金は要問い合わせと考えておくのが正確です。
- こんな人向け:チームや全社で議事録の作り方をそろえたい企業。専門用語の多い会議を扱う組織。
- 弱点:法人向けのため個人では利用できません。価格が公開されておらず、個人利用のツールと比べるとコストは高めです。
YOMEL:ID無制限で全社導入しやすい自動議事録
YOMEL は、PKSHAが提供する法人向けの自動議事録ツールです。話者識別・自動要約に加えて、会議からFAQ(よくある質問と回答)を抽出する機能もあり、会議に特化しています。利用IDが無制限なので、人数の多い組織でも全社に広げやすいのが特徴です。
料金は2026年7月時点で、無料トライアルがあります。有料プランは公開価格がなく、利用時間に応じた課金で要問い合わせです。
- こんな人向け:多くの社員に議事録ツールを行き渡らせたい企業。会議の記録を全社の資産として残したい組織。
- 弱点:Otolioと同じく法人向けで、価格が公開されていません。個人での利用には向きません。
目的から選ぶ早見表
自分の目的に当てはめると、候補がしぼれます。
- お金をかけずに、まず議事録を試したい → toruno(累計3時間まで無料)
- 個人で会議の議事録を作りたい → toruno(月1,650円)/Notta(プレミアム月1,980円)
- 日本語の精度を重視、取材やライティングに使いたい → Rimo Voice
- 多言語の会議もあり、要約・翻訳まで一つで済ませたい → Notta
- 企業で本格的に導入したい → Otolio(旧スマート書記)/YOMEL(いずれも要問い合わせ)
なお、YouTube などの動画に字幕をつけたい場合は、Vrew のような動画クリエイター向けのツールが別にあります。用途が議事録とは違うので、この記事の比較からは外しています。
迷ったら、無料の toruno から試せばいい
どれにするか決めきれないときは、まず toruno の無料枠から触ってみるのがおすすめです。累計3時間ぶん無料で、会議を1〜2回まるごと試せるので、「AIで議事録ってこのくらいできるのか」という手応えがつかめます。Notta の無料は1回3分までで会議のお試しには向かないため、短いメモを起こしたいとき向け、と覚えておくと選びやすい。
そのうえで、日本語の精度や取材用途を重視するなら Rimo Voice、企業でチーム全体に広げたいなら Otolio や YOMEL、と目的に合わせて足していけばいい。
最後にひとつ、どのツールを選んでも共通する注意点があります。AIの文字起こしや要約はそのまま使わず、必ず自分で読み直して、事実確認と手直しをすること。特に固有名詞・数字・専門用語は、それらしく間違って変換されることがあります。誰が何を決めたのかという肝心なところは人が押さえる——この距離感で使うと、議事録づくりの頼れる相棒になります。まずは無料枠で一度、実際の会議で試してみるのが近道です。
